乾癬の教科書
乾癬にはどんな種類と症状があるの?
乾癬の種類
乾癬は、大きく分けて5つのタイプに分類されます。日本人の乾癬患者さんでは、このうち「尋常性乾癬」が約90%を占めています。また、皮膚に出る症状(皮疹)の他に、関節の痛みやはれがみられる「乾癬性関節炎」も増えてきています。
尋常性乾癬
もっとも頻度の高い乾癬で、乾癬全体の約90%*1を占めています。
一般的に乾癬というと、この尋常性乾癬のことを指します。
主な症状は、紅斑、肥厚、鱗屑などです。
頭皮や髪の生え際、ひじ、ひざやひざ下、おしり、つめ、など外部からの刺激を受けやすい部位でよくみられますが、それ以外の部位に皮疹が出ることもあります。
乾癬性関節炎
乾癬性関節炎は乾癬全体の6〜34%*3 *4を占めるといわれ、近年増加しています。乾癬性関節炎は、関節症性乾癬と呼ばれることもあります。
皮膚症状に加えて、関節の痛み、腫れ、こわばり、変形の関節症状が生じるタイプの乾癬です。
関節リウマチと似た症状を示しますが、違う病気であり、治療法も異なります。
多くは、手足の指の関節に症状があらわれ、アキレス腱、かかと、足の裏などにもみられます。背骨、腰などに出る場合もあります。
皮膚症状が先行して発症し、次に関節症状があらわれる場合が多い(約75%)とされていますが、その逆の順(約5%)や、同時にあらわれる場合(約20%)もあります。*5
滴状乾癬
小さな雨粒状の紅斑が全身にあらわれる乾癬です。
子どもや若年者に多く、風邪や扁桃炎などの感染症が誘因となっておこることが多いといわれています。
きっかけとなった感染症を治療することによって症状は治まりますが、まれに再発を繰り返したり、尋常性乾癬に移行するケースもあります。
乾癬性紅皮症
尋常性乾癬の炎症が体中に広がり、全身の皮膚の90%以上が赤くなった状態の乾癬です。
発熱、悪寒、全身倦怠感、関節痛などを伴います。
最初から乾癬性紅皮症であることはまれで、尋常性乾癬を放置したり不適切な治療を行ったために尋常性乾癬から移行するケースが多いとされています。また、薬剤の使用や感染症が誘因となる場合もあります。
膿疱性乾癬
紅斑によって赤みをおびた皮膚の上に、小さなぷつぷつした膿疱(膿を含んだ水疱)が多数発生し、それが全身に広がる乾癬です。
無菌性なので周囲の人にうつることはありませんが、発熱や悪寒を伴い、再発を繰り返すことがあります。
難治性であるため、厚生労働省の指定難病とされています。
- 飯塚 ⼀:⽇本⽪膚科学会雑誌, 116: 1285-1293, 2006
- 画像提供:桜仁会いがらし皮膚科東五反田 院⻑ 五⼗嵐 敦之 先⽣
- Scarpa, R. et al.: Br J Rheumatol, 23: 246-250, 1984
- Zachariae, H.: Am J Clin Dermatol, 4: 441-447, 2003
- Yamamoto, T. et al.: J Dermatol, 43: 1193-1196, 2016
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